「東西南北」という方角を表す言葉の語源は、それぞれの漢字の意味や古代中国の自然観に由来します。
1. 東(ひがし)
「東」は、太陽が昇る方角を意味します。漢字の「東」は、木の間から日(太陽)が昇る様子を表しており、日の出の方角であることから「東」とされています。
2. 西(にし)
「西」は、太陽が沈む方角を意味します。漢字の「西」は、鳥が巣に帰るという意味があり、太陽が沈み、日が暮れる方向という意味です。
3. 南(みなみ)
「南」は、暖かい方角を意味します。漢字の「南」は、古代中国において、暖かさや豊穣を象徴していたことから、その方角を指すようになりました。
4. 北(きた)
「北」は、寒冷な方角を意味します。漢字の「北」は、背中を向け合う二人の姿を表しており、冷たい風に背を向ける様子を示しています。このため、寒冷な北を指すようになりました。
これらの漢字は、古代中国で自然の観察や暦の設定に基づいて決められたもので、そのまま日本にも伝わり、方位を示す言葉として定着しました。
ちなみに西に字が似ている「酉(とり)」は、十二支の10番目に位置する動物で、一般的には「鶏(とり)」を象徴します。しかし、元々の「酉」という漢字の意味は、動物ではなく「酒」や「酒壺(さかだる)」に由来します。
古代中国では、酉は発酵を象徴し、酒造りや発酵過程と関連づけられていました。この漢字が十二支において「鶏」を指すようになったのは後世の発展で、音やイメージが関連して結びついたと考えられています。
また、酉は方角では西を示し、時刻では午後5時から午後7時を指します。このように、十二支の「酉」には時間や方角、季節の変化に関する象徴も含まれています。