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名前の由来や旅行先で見かける地名の謎を解明する

アイヌの語源

アイヌという言葉は、アイヌ語で「人間」を意味します。もともとは自然界の全てのものに心があるという精神に基づいて自然を指す呼称である「カムイ」に対する概念としての「人間」という意味であったとされています。このように自分たちの民族を「人間」と呼ぶことは、世界の民族集団でめずらしいことではありません。

アイヌという言葉が異民族に対する「自民族の呼称」として意識的に使われだしたのは、大和民族(和人)とアイヌとの交易量が増加した17世紀末から18世紀初めにかけての時期とされています。それ以前は、地域によって文化や集団意識が異なり、アイヌは居住地域ごとに互いを呼びわけていました。たとえば、北海道太平洋岸東部に住したアイヌは「メナシクル」、太平洋岸西部のアイヌは「シュムクル」、千島のアイヌは「クルムセ」もしくは「ルートムンクル」などと呼ばれていました。

アイヌという言葉は、日本とロシアに居住するアイヌの人々を指す一般的な呼び名となっていますが、アイヌの社会では、本来は「アイヌ」という言葉は行いの良い人にだけ使っていました。悪い同胞を彼らはアイヌと言わず、「ウェンペ」(悪いやつ)と呼んでいました。

Ainu exhibition